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道南農業試験場

第1回道南農業新技術発表会

主催:道南農業試験場


発表会の内容

  • 日時:平成11年2月22日(水)13:30~16:30
  • 場所:大野町農業振興センター
  • 発表課題 :
    1. 「にらの加温1月どり栽培法」(川岸康司)
    2. 「ねぎの根腐萎ちょう病菌に対する還元殺菌法」(新村昭憲)
    3. 「ねぎの品種特性」(阿部珠代)
    4. 「カーネーションの一回半摘心作型」(生方雅男)
    5. 「道南における高ビタミンCキャベツの栽培法」(坂口雅巳)
    6. トピックス「水稲優良品種開発施設<水田温室>」(沼尾吉則)

講演要旨

1.「にらの加温1月どり栽培法」(川岸康司)

 にらは需要が多く価格の高い11~1月末頃までは生産量が少なく、所謂 端境期になっていた。現地では休眠明けの12月上旬から保温していたが、無加温では1月上旬の出荷は不可能であった。そこでにらの休眠特性を明らかにしながら加温1月だしを試みた。グリーンベルトを用い12月5日頃から15℃位で加温し、その後軟弱にならない様に徐々に温度を下げていくと、1月上旬の出荷が可能となった。
 にらは、休眠が深く越冬後は抽台が早い品種と休眠が浅く抽台が遅い品種に分ける事が出来た。休眠が深い「たいりょう」や「パワフルグリーンベルト」では、温度反応や加温時期に対する生育反応に大差が認められなかつた。また、短日条件下では抽台が抑制された。

2.「ねぎの根腐萎ちょう病菌に対する還元殺菌法」(新村昭憲)

 ねぎ根腐萎ちょう病はハウス栽培のねぎに大きな被害を及ぼす新しい土壌病害で、今まで薬剤による土壌消毒しか効果的な防除法がなかった。そこで農薬に頼らない防除法を目指し、太陽熱消毒も有効な一方法と考えた。しかし北海道では本州と比べ気温が低く殺菌に必要な地温を40℃以上に上げる事が困難であった。そこで、土壌が還元状態になると本病菌が死滅しやいことに注目し、地温30℃で殺菌する方法を開発した。
 本法は、土壌中に還元化を促進しやい資材として、フスマまたは米糠を1t/10a作土に混和し表面を透明被覆資材で覆い、100~150mmの潅水(潅水チューブ使用)を行う。この状態でハウスを締め切ると、7~9月 上旬では地温を30℃まで上げる事が 容易である。ほ場容水量以上の水分を維持して平均30℃の地温があれば、20日以内に病原菌を死滅させることが出来る。

3.「ねぎの品種特性」(阿部珠代)

 ねぎ(簡易軟白・夏秋どり)の品種特性調査を行い、17品種及び系統について特性を明らかにした。これらのうち、「NS-932」「W-885」「冬扇2号」「金長3号」「雄山」「ゆうこん」は、2年間の試験を通して標準品種「元蔵」並またはそれ以上の評価となった。

4.「カーネーションの一回半摘心作型」(生方雅男)

 1回半摘心により1番花のピークが低減し、2番花の採花時期が分散化された。1回半摘心作型における定植期は、2月中旬と3月中旬との比較では10、11月収量が変わらないことや、暖房費を考慮すると3月中旬が適切と思われます。早稲品種は早期に採花終りとなり10、11月収量が少なく、中晩生品種では切り残しの危険性があるため、中性種が適しています。摘心法は採花時期の分散化や切花品質を考慮すると2/4摘心が適している。疎植にすることにより採花率、切花品質の向上効果が認められました。

5.「道南における高ビタミンCキャベツの栽培法」(坂口雅巳)

 道産キャベツの競争力を高めるため、早だし(早春まきトンネル、春まき)キャベツを対象にビタミンCの向上を目指した。疎植にして日当たりを良くしたり、マルチやべたがけを使用して外葉の展開を早めることでキャベツの光合成能が高まり、その結果、ビタミンC含有率が向上する。また、早春、春まきの作型では、結球重が大きくなるほどビタミンC含有率が低下するので、大玉にならないうちに収穫することも重要である。食品成分表では、キャベツのビタミンC含有率は44mg/100gと示されています。キャベツは元来冬の野菜であるが、初夏にビタミンC含有率は45mg/100gを越える高品質キャベツを生産することで、道産キャベツの優位性と付加価値が期待出来る。

6.トピックス「水稲優良品種開発施設<水田温室>」(沼尾吉則)

 平成10年秋に完成した水稲優良品種開発施設<水田温室> の仕様、使用目的、道内水稲品種改良上の効果などを説明した。


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