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道南農業試験場

第8回道南農業新技術発表会

主催:道南農業試験場

  • 日時:平成18年2月23日(木)13:00~16:00
  • 場所:北斗市農業振興センター

 第8回道南農業新技術発表会は、2月23日、生産者等約76名、JA・諸団体約21名、市町村・支庁・国関係者約13名、農学校・町技術センター・普及センター・研究機関約14名、計約124名のご参加をいただき、盛会のうちに終了いたしました。誠にありがとうございました。


場長挨拶

 本年度の発表課題は、新技術並びにトピックスとも、道南の地域特産物の持続的な生産、あるいは付加価値を更に向上させるために貢献できる内容であると考えております。
地域特産農産物、即ちブランド品を維持していくことは、作り上げるより大変でありまして、産地間競争、連作や過作による障害などいろいろなリスクに対していかに対処して、生産性を維持するかが重要な問題です。
ここに紹介する技術がブランド品の更なる付加価値を高める切っ掛けとなることを願っていますが、そのためには生産活動の中で活用していただく必要があります。
技術の活かし方については、関係者のみなさまの協力が必要でありますので、紹介する技術の利用場面におきましてもご指導をお願いいたします。

平成18年4月に農業試験場の組織機構が改正されます。
改正におきましては、地域農業の問題を、より早く、適切に解決することをめざしております。そのことを受けて、渡島・檜山両支庁、各普及センターと道南農試が一体となって地域の問題解決に当たる道南農業技術支援会議をこの3月に設立し、活動することとしております。
その会議がより充実した活動をできますように、その運営に対しても、皆さんのご支援を重ねてお願い致します。


発表会の内容

  1. 新品種・技術
    1. 新品種:水稲;上育445号、空育酒170号、
      小麦:北見81号、馬鈴しょ:北育8号
    2. イチゴ無病苗の省力定植技術
    3. カキ殻粉砕物の野菜畑への施用
    4. ハウス栽培にらの施肥法
    5. カブのクリーン農業技術
    6. カボチャの疫病防除法
    7. カーネーション養液土耕栽培の導入効果
    8. トマトのかいよう病と青枯病の防除法
  2. トピックス
    1. 「函館育ち」ブランド品質・規格統一プロジェクト(特別品目:ほうれんそう)
      (渡島中部地区農業改良普及センター 技術主幹 里見 研)
    2. 乙部町で新たな取り組み「ブロッコリー栽培の導入で地域が変わる」
      (檜山南部地区農業改良普及センター 主査 越 浩一)

講演要旨

新技術

新品種:水稲;上育445号、空育酒170号、
小麦:北見81号、馬鈴しょ:北育8号シストセンチュウ抵抗性ばれいしょ「北育1号」「北海89号」

研究部 主任研究員 手塚光明

 冷害に強く多収で直播にも使用できる良食味の水稲新品種「上育445号」、粒が大きく多収な酒造好適米新品種「空育酒170号(彗星)」、多収で製粉歩留りが高くめん適性に優れた小麦新品種「北見81号」、「男爵薯」並の食味で疫病無防除栽培ができるばれいしょ新品種「北育8号」が育成されました。

イチゴ無病苗の省力定植技術

園芸環境科 科長 中住晴彦

 ハウス内にビニールを敷き、その上にもみがらを約3cmの厚さに敷いてイチゴの苗採りをする「もみがら採苗法」で採った子苗を、苗取り後すぐに畑に定植する「直接定植技術」を開発した。この技術は土壌病原菌の苗への付着がなく、作業も簡単で、イチゴの収量にも問題がない。

カキ殻粉砕物の野菜畑への施用

園芸環境科 研究職員 細淵幸雄

 カキの貝殻を粉砕・ふるい分けし、市販の炭カル資材を比較して、土壌pHを矯正する効果を検討した。その結果、1mm目のふるいを通したカキ殻粉砕物であれば市販の炭カル資材と同様に土壌pHが高まることがわかった。

ハウス栽培にらの施肥法

研究部 主任研究員 日笠裕治

 ハウス栽培におけるにらの生産性と品質を向上させるために周年的な養分吸収特性を明らかにし、栽植年次ごとの窒素施肥量および施肥方法を明らかにした。その結果、定植年は基肥10、分施8+8、収穫年は基肥8、分施6+6+6(kg/10a)とする。

カブのクリーン農業技術

園芸環境科 研究職員 細淵幸雄

 道南地域のこかぶ栽培の実態調査および施肥・防除試験を行うことにより、ハウス(2月播種)および露地トンネル(3月播種)作型の、適正な施肥量および病害虫の防除水準を設定した。

カボチャの疫病防除法

病虫科 研究職員 三澤知央

 薬剤散布液量を慣行の2倍量の200L/10aとすることにより、発病株率を慣行散布の1/3~2/3程度に抑えた。また、収穫果実を出荷前に14日間貯蔵することにより、感染した果実を発病させ選別・除去し、健全な果実だけを出荷することができた。

カーネーション養液土耕栽培の導入効果

園芸環境科 研究職員 福川英司

 カーネーション栽培に養液土耕技術を導入した場合、かん水にかかる作業時間が3.2時間/10aに短縮された。また、システムを導入している農家への聞き取り調査の結果、施肥量は少なく、減肥の可能性が示唆された。

トマトのかいよう病と青枯病の防除法

病虫科 研究職員 野津あゆみ

 トマト青枯病とかいよう病の防除法を示した。発病株の早期抜取りに加えて、青枯病では抵抗性台木の使用と深耕還元消毒が、かいよう病ではカスガマイシン・銅水和剤の散布に加えて深耕簡易太陽熱消毒や熱水消毒などが有効であることが明らかとなった。

「函館育ち」ブランド品質・規格統一プロジェクト(特別品目:ほうれんそう)

渡島中部地区農業改良普及センター 技術主幹 里見研二

乙部町で新たな取り組み「ブロッコリー栽培の導入で地域が変わる」

檜山南部地区農業改良普及センター 主査 越 浩一


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