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道南農業試験場

第4回道南農業新技術発表会

主催:道南農業試験場


 第4回道南農業新技術発表会は、1月31日、道南圏の生産者約90名、JA・諸団体約30名、一般町民5名、市町村・支庁・国関係者約20名、農学校・町技術センター・普及センター・研究機関約40名のご参加をいただき、無事終了いたしました。


場長挨拶:

 この発表会は道南農試が開発した新技術などの中から、ここ道南で、すぐにでも役立つ新技術について地域にいち早く紹介することを目的にしております。これからの農業は中国農業がどう動いていくのか ということで中国と野菜と畜産がキーワードとなる国際化時代の展開になります。セーフガードの本発動は空振りに終わりましたが、この不況打開のためには農業によって是非とも巻き返しを図らねばなりません。牛肉問題などで負けてはおられません。スピードアップが大事です。お米は勿論、ネギ、イチゴをはじめトマト、ばれいしょ、ダイコン、アスパラ、トルコギキョウも大事です。農業関係者は英智を絞り、地域産業と地域振興の機関車役として元気を出しましょう。


発表会の内容



会場の様子


要約

新技術

トルコギキョウの早出し(5~6月切り)栽培

園芸環境科 研究職員 福川英司

 トルコギキョウの5月切り栽培の加温目標温度は、定植~1月の間が10℃、2月以降が15℃、3月中旬以降では18℃が有効であった。6月切りではそれぞれ5℃、12℃、15℃が経済的に妥当であった。15℃の加温条件下で2月上旬以降に電照すると採花期が早まる効果があった。

冬~春どりねぎの品種特性
園芸環境科 研究職員 阿部珠代

 ねぎのハウス簡易軟白栽培において13品種・系統の特性を評価した。「NS-9811」「SK5-13(冬扇3号)」は収穫時の花蕾抽出・分げつ発生が少なく、「長悦」と同程度またはやや有望であった。花芽分化に至る温度条件を品種別に示した。

鉄・ケイ酸補給による水田の生産力向上

園芸環境科 研究職員 林哲央

 土壌の鉄濃度レベルついては全国的な基準が決められています。ところが、北海道の水田について詳しく調べてみると、北海道は寒冷で稲ワラや根の分解が遅いため全国基準より高い酸化鉄濃度が必要であることが分かりました。

ばれいしょの粉状そうか病・だいこん軟腐病の防止対策

病虫科 研究職員 新村昭憲

 ばれいしょの粉状そうか病は、道内各地で発生しているが、道南地方での発生が多く、更に連作ほ場で大池以降がある。土壌水分に関しては、湿潤な条件で発生が多いことが確認された。品種による発病差が大きいこと、土壌処理剤の効果が高いことから防除対策として利用できる。

 だいこん軟腐病菌の感染は、播種後25~30日目の初生皮層の傷口から行われている可能性が高く、この時期に銅剤を散布すると効果がある。品種および窒素施肥量による発病の差は大きく、品種の選択および窒素施肥量を控えることで発病の低減が可能。

新技術の検証

「ハウストマトの葉柄硝酸濃度による栄養診断」を実践してみて

大野町(農業) 畠山誠 氏

 昨年、道南農試で開発された技術「ハウストマトの葉柄硝酸濃度による栄養診断」について、昨年4月に新規就農した大野町の畠山誠氏に実践していただいた。栄養診断を行ったハウスでは慣行と比べ減肥となり、収量も十分得られた。

トピックス

気象・土壌にマッチした農地利用計画の策定

技術普及部 次長 大村邦男

 作物生育に影響を及ぼす気象、土壌に係わる情報を階級区分して栽培適地マップ及び農業生産力評価システムを開発した。これとともに、対象地域の農地利用計画策定のための指針と実状に沿った具体的な改良対策を示した。

「いちご高設栽培」の展望

園芸環境科 科長 中住晴彦

 いちごの高設栽培は、いちごを高設ベンチの上で作る技術で、中腰姿勢からの解放を主な目的としている。道南農試では平成13年度から開発に取り組み、年2作の栽培が可能で、経営的にも十分に成り立つ高設栽培システムを実証試験中。平成15年度に成果発表の予定。


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