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道南農業試験場

第7回道南農業新技術発表会

主催:道南農業試験場

  • 日時:平成17年2月17日(木)13:00~16:00
  • 場所:大野町農業振興センター

 第7回道南農業新技術発表会は、2月17日、前日からの雪模様にもかかわらず道南圏の生産者等約40名、JA・諸団体約10名、市町村・支庁・国関係者約30名、農学校・町技術センター・普及センター・研究機関約50名、計約130名のご参加をいただき、盛会のうちに終了いたしました。誠にありがとうございました。


場長挨拶

 本発表会は、関係者のご協力により7回目を迎えております。毎年、道立農試全体の研究成果から、道南農試の成果を中心に、道南地域に関係する新しい技術を紹介しております。加えて、第4回からは、農家の方あるいは農業改良普及センターの協力により、現場の技術に関する話題を提供していただいております。
本年の研究成果は、施設園芸に関する課題を中心として、地域水田農業ビジョンの実施に大きく関わる水稲の直播の展開方向と、水稲及び馬鈴しょの品種を紹介しました。トピックスでは、1987年、昭和62年に檜山南部で最大瞬間風速39.5メートルの風台風による潮風害以来、17年ぶりの台風18号の潮風害について、渡島中部と檜山南部の農業改良普及センターから紹していただきました。
紹介した新技術が早く現場で有効利用されるように関係者のご指導をお願いするとともに、今後も発表会はじめ、道南農試の研究活動に対してご支援をお願い致します。


発表会の内容

  • 発表課題
    1. 新技術
      1. 良食味水稲「北海292号(おぼろづき)」
        シストセンチュウ抵抗性ばれいしょ「北育1号」「北海89号」
      2. にら「パワフルグリーンベルト」の裁植様式
      3. ヒトデ混和たい肥の露地野菜への施用
      4. 水稲直播の作業受委託による展開の方向
      5. 目で見るいちごの栄養障害
      6. ハウス立茎アスパラガスの品種特性と施肥量
    2. トピックス
      1. 平成16年度台風に伴う農作物の被害
      2. 平成16年度の発生にかんがみ注意すべき病害虫

  • 講演要旨

    新技術

    良食味水稲「北海292号(おぼろづき)」
    シストセンチュウ抵抗性ばれいしょ「北育1号」「北海89号」

    作物科 科長 荒木和哉

     単品利用できる粘りの強い低アミロース良食味米品種「北海292号(おぼろづき)」、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性の早生白肉ばれいしょ品種「北育1号」、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性のチップ加工原料用ばれいしょ品種「北海89号」が育成されました。

    にら「パワフルグリーンベルト」の裁植様式

    園芸環境科 研究職員 阿部珠代

     にらは多年生の作物で、品質は主に葉色の濃さと葉幅の広さで判断されている。「パワフルグリーンベルト」は葉色が濃く、近年作付けが増加しているが、従来品種に比べて収穫2、3年目の葉幅が狭い傾向にある。そこで、「パワフルグリーンベルト」の収量と葉幅の広さを維持するための栽植密度と植え付け方法を定めた。

    ヒトデ混和たい肥の露地野菜への施用

    園芸環境科 研究職員 細淵幸雄(発表:科長 中住晴彦)

     北海道におけるヒトデの水揚げ量は、平成13、14年度には、それぞれ17500t、14400tに及ぶ。カニ、ツブ、ホタテ、アサリ等の漁場では、ヒトデによる食害が発生し、駆除・混獲後の処理が大きな問題になっている。ヒトデの有効利用が望まれ、その一つとして肥料化等があげられている。ヒトデを牛糞等に混和したたい肥を取り上げ、無機成分を明らかにするとともに、施用効果、施用量を明らかにした。

    水稲直播の作業受委託による展開の方向

    中央農試生産システム部経営科 科長 岡田直樹

     道南南部では、離農に伴い遊休農地が増大し農業生産は縮小する懸念がある。一方、「きらら397」や「ほしのゆめ」など水稲中生品種の直播栽培適地であり、直播栽培の導入拡大による農地の有効活用が期待される。しかし、直播栽培の導入面積は39.4ha(平成16年)にとどまる。このため、直播栽培の導入拡大に向けて、導入の妨げとなる問題点を整理するとともに、作業受委託による直播栽培定着の方向を明らかにした。

    目で見るいちごの栄養障害

    園芸環境科 研究職員 坂口雅己

     いちごの生産現場において栄養障害の簡易で迅速な診断および初動調査を図るため、肉眼観察による栄養障害診断法を確立する。すなわち、茎葉および根部に発現した栄養障害症状の特徴を明らかにするとともに、ビジュアル化(カラー写真)資料を作成することにより、栄養障害診断の手助けとする。

    ハウス立茎アスパラガスの品種特性と施肥量

    園芸環境科 研究職員 福川英司

     暖地で始められたハウス立茎栽培技術を寒冷地である北海道に普及させるために、品種特性および若年株(定植2~4年目の株)における適切な立茎本数、施肥標準の示されていない施肥量、収穫打ち切り時期の翌年収量への影響を明らかにした。

    トピックス

    平成16年度台風に伴う農作物の被害

    渡島中部地区普及センター 専門普及員 佐々木近義

    檜山南部地区農業改良普及センター 技術主幹 小島篤志

    平成16年度の発生にかんがみ注意すべき病害虫

    病虫科 科長 柿崎昌志
    研究職員 三澤知央

     本年実施した予察調査および診断試験結果から、平成17年の耕作時には、ここに紹介する病害虫の多発生が懸念されます。特段の注意をしてください。


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