カラマツ属樹木の害虫
カラマツ属樹木(カラマツ・グイマツ)の害虫
2011/3/31
異常部位 | 症状 |
幹・枝 | 穴が開く。たいてい木くず・虫糞・ヤニがある。 |
表面に体長20~40mmの細長い蜂がいる。 | |
表面に虫または異様なものが多数付着する。幹や枝に穴・傷はない。 | |
葉・新芽 | 葉が食べられる。糸を葉などに絡めた巣がある。 |
葉が食べられる。ときに糸が絡むが、巣はない。 | |
葉が先から枯れる。5mmほどの蓑虫がいる。 | |
変色する。食べ痕はない。虫または異様なものが多数付着する。 | |
変色する。食べ痕はない。高倍率のルーペを使うと、微細な糸や微小なダニがみられる。 | |
葉が黄ばんだり枯れる。樹上に異常や虫はみられない。 → 根へ。 | |
根 | 細根が減少する。土中に虫がいる。 |
松ぼっくり・種子 | 内部に虫や虫糞。ときに表面に穴が開き、虫糞が出る。 |
カラマツ属樹木の穿孔性害虫
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カラマツヤツバキクイムシ カラマツヤツバキクイムシ 樹皮に直径約3mmの穴が開く。樹皮下に甲虫(体長約5mm)や幼虫・蛹がいる。
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コキクイムシ類 カラマツコキクイムシ 樹皮に直径約1mmの穴。樹皮下に茶色~黄色の甲虫(体長約2mm)、白い幼虫・蛹がいる。
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コキクイムシ類 トドマツコキクイムシ カラマツコキクイムシに似る。甲虫はすべて黄色。
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オオゾウムシ オオゾウムシ 丸太や伐根に円形の穴が開き、粗い木屑が出る。直径は5~10mm。穴は材内に続き、幼虫がいる。 幼虫に脚はない。
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オオマルクビヒラタカミキリ 楕円形の穴が開く。樹皮下や材内に細長い白い幼虫。衰弱木や丸太に寄生。
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カラマツミキモグリガ 幹や枝に虫糞の混じったヤニの塊ができる。樹皮内に幼虫や蛹がいる。体長最大約11mm。頭部は茶色、胸腹部は灰色。秋から早春に発生。
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トドマツノキバチ トドマツノキバチ 体は黄色で黒い縞模様がある。
カラマツ属樹木の葉食性害虫、巣を作る
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<ヒラタハバチ科の幼虫> 腹脚を欠く。触角は細長い。尾端近くの両側にひげ状の突起(尾肢)がある。
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カラマツヒラタハバチ カラマツヒラタハバチ 体長最大約18mm。胸腹部は灰緑色から灰色で部分的赤みがある。老熟すると暗い緑色に変わる。頭部は黒色から褐色。単独性。糸でトンネル状の巣を作り、巣には糞が密に付着する。6~8月に発生。
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ニホンカラマツヒラタハバチ ニホンカラマツヒラタハバチ 体長最大約18mm。胸腹部は灰褐色、老熟すると灰黄色に変わる。頭部は黒色から褐色。単独性。糸でトンネル状の巣を作る。巣に糞があまり付着しない。7~8月に発生。
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ニホンアカズヒラタハバチ ニホンアカズヒラタハバチ 体長最大約25mm。胸腹部は鮮やかな黄緑色、頭部は淡い褐色、尾端はオレンジ色に縁取られる。ときに前胸背面が黒い。糸を粗く張る。 7~8月に発生。
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<ハマキガ科・メイガ科の幼虫> 腹脚は5対。触角は不明瞭。尾肢はない。
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カラマツイトヒキハマキ カラマツイトヒキハマキ 体長最大約20mm。緑色、背中に2本の黄色または暗い縦縞がある。 6月に発生。
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テングハマキ テングハマキ 体長最大約20mm。体は背中が灰緑色で白っぽい斑点がある。体の下側は黄白色。頭は暗い茶色。頭のすぐ後の背面は茶色。
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ハイイロアミメヒメハマキ ハイイロアミメヒメハマキ 体長最大約14mm。頭部は暗い茶色から黒色。胸腹部は灰緑色、やや茶色味がある。背中に暗い斑点がある。前胸背面は黒い。
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カラマツヒメハマキ カラマツヒメハマキ 体長最大約12mm。胸腹部は茶色。頭部は黒い。 春と夏に発生。
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ギンムジハマキ ギンムジハマキ 体長最大約18mm。背中に黒い斑点がある。頭部は茶色から暗い茶色で後方に黒い斑紋がある。前胸背面は暗い茶色から黒。胸脚は黒色。春に発生。
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カラマツマダラメイガ カラマツマダラメイガ 体長最大約14mm。胸腹部は黄緑色から茶色で背中には多数の暗い縦縞と黒い斑点がある。頭部は黄土色、茶色の複雑な縞模様がある。6月頃のようである。
カラマツ属樹木の葉食性害虫、巣を作らない
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<ハバチ科の幼虫> 体毛はない。腹脚は7対。
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カラマツハラアカハバチ カラマツハラアカハバチ 体長最大約18mm。頭部と胸脚は黒色。胸腹部は淡い黄緑色から淡い灰白色で、終齢では背面が暗くなる。通常、数十頭の幼虫が集団で葉を摂食する。 8月に発生。
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カラマツキハラハバチ カラマツキハラハバチ 体長最大16mm。胸腹部は黄緑色。頭部は若い時は褐色だが、終齢では淡い黄土色で頭頂部に暗い縞がある。単独性。6~8月に発生。
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ミスジヒメカラマツハバチ ミスジヒメカラマツハバチ 体長最大約13mm。淡い緑色。終齢では腹部の背面中央と側面に暗い縦縞がある。体が後方に向かい徐々に細くなる。単独性。5~7月に発生。
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<シャクガ科の幼虫> 体は細長い。体毛は不明瞭。腹脚は2対。
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ミスジツマキリエダシャク ミスジツマキリエダシャク 体長最大約40mm。8月にカラマツ林で発生、近くのトドマツ・アカエゾマツなどを食害することがある。
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オオチャバネフユエダシャク オオチャバネフユエダシャク 体長最大約40mm。茶色で側面が鮮やかな黄色。春に発生。
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<カレハガ科・ドクガ科の幼虫> 体毛は長い。腹脚は5対(毒毛を持つ種がいるため、透明容器に入れ観察する)。
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ツガカレハ ツガカレハ 体長最大約80mm。茶色から灰色、背中の前方に黒い短毛がまとまって生える部分が2カ所ある。秋と春に発生。カラマツでは少ない。
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マイマイガ マイマイガ(エゾマイマイ) 体長最大約60mm。背中にコブが二列に並び、前の3対は青く、後の6対は赤い。頭部は茶~灰色、黒い八の字の斑紋がある。春から初夏に発生。カラマツ林などで大発生し、葉を食べつくすと、近くのトウヒ属を加害する。
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アカモンドクガ アカモンドクガ 体長最大約40mm。頭部のすぐ後の両側に赤い丸いコブがあり、そこから黒い毛束が生える。背中の中央付近に黒、白、黄色の歯ブラシ状の毛束が生える。5~6月に発生。
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ドクガ ドクガ 体長最大約40mm。黒褐色でオレンジ色の縞や斑紋があり、多数の暗褐色の長毛を生じる。頭部が小さい。春に目立つ。毒毛を持つ。
カラマツ属樹木の食葉性害虫、蓑虫
カラマツ属樹木のハダニ
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カラマツツメハダニ カラマツツメハダニ(カラマツハダニ) 春から夏に葉がスプレー状に黄色から茶色になる。高倍率のルーペで観察すると微細な糸、点状の黒い糞、ごく微小な(体長最大約0.5mm)ダニがみられる。
カラマツ属樹木の吸汁性害虫
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カラマツオオアブラムシなど カラマツオオアブラムシなど 春から秋に枝や細い幹につく茶色~黒色のアブラムシ。4種いる。
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カラマツカサアブラムシ カラマツカサアブラムシ 春から初夏に葉裏に小さな白い綿のかたまりや微小な黒い粒が付着する。
カラマツ属樹木の球果害虫
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<ハマキガ科・メイガ科の幼虫> 胸脚は3対、腹脚は5対。頭部は明瞭。
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ツマクロテンヒメハマキ ツマクロテンヒメハマキ 新梢の途中に潜る。体長最大約12mm。頭部は茶色、前胸背面は茶色から黒色、胸腹部は黄白色で背面がやや赤い。7~8月に発生。枝内で蛹で越冬する。
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マツノマダラメイガ マツノマダラメイガ 体長最大約22mm。頭部は赤黒い。胸腹部は濁った黄土色、背中は暗く紫がかる。新梢の途中に潜る。
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<ハナバエ科の幼虫> 脚はない。頭部は不明瞭。
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カラマツタネバエ カラマツタネバエ 若い松ぼっくりの付け根近くが茶色に変わり、変形する(左写真の右2個)。内部にトンネルがあり、幼虫がいる。体長最大約6mm。茶色の蛹が見られることもある。
カラマツ属樹木の根部害虫
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<コガネムシ科の幼虫> 胸脚が長く、体をC字に丸める。
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スジコガネ・オオスジコガネ スジコガネ 体長最大約30mm。体は黄色がかった白色から黄色。尾端下側中央に長い内向きの刺毛列が2列あり、両列の間隔は尾端に向かい広がる。この刺毛は各列20本前後。
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スジコガネ・オオスジコガネ オオスジコガネ スジコガネとよく似る。尾端下側中央の内向きの刺毛は各列25本前後。
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ヒメコガネ ヒメコガネ 体長最大約30mm。体は黄色。尾端下側中央の内向きの刺毛は尾端近くでは長いが、前方では短い。
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ナガチャコガネ ナガチャコガネ 体長最大約25mm。体は白い。尾端下側中央にごく小さな内向きの刺毛が縦2列に並ぶ。
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<ゾウムシ科> 幼虫は胸脚がなく、C字形に丸まらない。同時に成虫が見つかることが多い。成虫は口が突出する。
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キンケクチブトゾウムシ キンケクチブトゾウムシ 幼虫は体長最大約10mm、体はほぼ白色。成虫は体長約8.5mm、黒褐色、鞘翅に黄色の斑点(鱗毛の塊)がある。
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クワヒョウタンゾウムシ クワヒョウタンゾウムシ 幼虫は体長最大約10mm、キンケクチブトゾウムシに似るが、腹部の毛の配列で区別できるようである。成虫は体長約7mm、黒色だが、灰色の毛に広く覆われる。